前回のあらすじ
傾奇者・屍食いを討ち取った奈緒江は、道中で再びややと再会。
なんと彼女の大切なかんざしが盗まれ、犯人はかつて妹のように慕っていた佐吉だった。誤解と怒りが交錯する中、奈緒江の説得で二人は和解し、ややが仲間に加わることに。
心の整理も進み、奈緒江は再び茶会に向けて動き出す。今度こそ、鉄砲女との決着へ向けて!

奈緒江の傾奇者討伐開始



最初の傾奇者・屍食いを始末してから、次々と各地の傾奇者に襲いかかる奈緒江。
ちょっと眠そうで、心なしか小学校の頃の友達に似ている巨漢の末木 (うらき)。婆さんの家を全焼させた血も涙もない熾火 (おきび)。戦う時に「キエエェー!」と叫びそうな幽鬼侍。
みんな着物が派手だ。ただ派手なだけなら、お洒落な YouTuber として生きていけたかも知れないのに。悪いことするから。もったいね。

残る傾奇者は 3 人。世の中を舐めきっている傾奇者たちは、大胆にも神社の前に看板を立てて、堂々と自分たちの行動を知らしめていた。
一気に呼び寄せて相手をするか、播磨各地に散らばっている傾奇者の元を訪れて始末していくか選べたけど、この奈緒江は油断せぬ。ひとりひとり、確実に追い詰めていこうと思います。
小袖のために賊から絹を奪う
さて、そろそろ後回しにし続けてきた茶会へ向かいましょうかね。とその前に、茶会に出るには小袖が必要で、その小袖を作るには絹が必要で、絹を手に入れるには賊をなんとかしないといけない現実が立ちはだかっている。
絹を奪った賊はどうやら堺の沖合に居る様子。海賊ってこと!?

賊の船まで泳いで近づいて登ってみると、何やら海賊同士でキモい会話が繰り広げられていた。男海賊が女海賊に「本当は奪った絹で小袖を仕立てたいんじゃないの~?」と探りを入れたりしていた。男さん、女海賊の小袖を見たくて必死すぎるうえに、距離の詰め方が非モテ。
どのみちその絹は頂く!お前らが着るのは小袖じゃなくて死装束だよ!
赤と黒の小袖で悩む奈緒江

無事、絹を手に入れた奈緒江。早速、小袖屋さんに向かった。
小袖屋さんはこう見えて敏腕らしく、絹さえ渡せば小袖をすぐに作ってくれるようだ。しかもその小袖、色が選べる。赤い小袖と、黒い小袖。
小袖屋さん的には赤い小袖がナウでヤングな感じでおすすめみたいだけど、奈緒江的には黒が好きと。忍だもんな。
どちらにしようか少し迷ったものの、こういう時こそ普段と違う一面出してこ!茶会で主役になっちゃおうよ!と心の乙女が騒ぎ出したので、赤い小袖を選んでみた。できあがりが楽しみだ。

これは……ここでも、ウラン水か……?いやでも、微妙にグラデーションがかかっているから、これは染料が溶けているのか。芸細。

今日の一枚

いろんな意味で笑顔の印象的な女子がおった。モデリングがどう見ても男性なんよ。
なんか高飛車だとか言われて?夫に捨てられて?いや、別れて?これから自分らしく生きたいとかなんとかモニョモニョ言っていた。
「出家すれば~?」と適当に相槌を打っていたら、本当に出家することになってしまったけど、強く生きてくれよな!
千利休が語る四規の精神

小袖を手に入れた奈緒江は、意気揚々と千利休の元へ向かった。もう居ないかな~と思ったけど、千利休は律儀に門の前に立ち続けていた。忠犬ハチ公も真っ青。
千利休の案内で屋敷に入ると、まず庭の美しさが奈緒江の心を打った。千利休曰く、四規の和敬静寂を表しているらしい。
ほほー!あの有名な四規の和敬静寂!なるほどですねぇ~と感心しまくってその場はしのいだ。あとからこっそり調べてみたら、その概念自体、千利休が生み出したものらしい。
四規 (しき) とは、茶道の精神を意味する「和敬清寂 (わけいせいじゃく)」の四つの漢字です。
【四規の言葉の意味】
- 和 (わ)… 互いに心を開いて仲良くする
- 敬 (けい)… 尊敬し合う
- 清 (せい)… 心の中も清らかである
- 寂 (じゃく)… どんなときにも動じない心
勉強になるわー。アサクリシャドウズ。
見返りを求めぬ茶道の心
奈緒江は千利休に、なぜ自分に茶を教えてくれるのかと問いを投げかけた。代わりに何を望むのかと。ここは商いの街・堺。ここでは全てのものに対価が必要になる。一体自分は何を差し出せば良いのかと、茶を教わる前に確認しておきたい様子。
そんな奈緒江に対して、千利休は一言。

「わしがそなたに与えるものに、見返りなどいらぬ。」
Fu~~~!!かぁっこいい~~~!!
千利休は、多くの者が代償を求める世に、わずかでも安らぎをもたらしたいと語った。茶道を通してそれが叶うと信じ、それを学ぼうとする若人には見返りなく与える。人格者だ。先達とはこうあるべきだと思う。
今の時代のおじさんが同じこと言えるかな、とちょっと考えてしまった。